2010年05月27日

移動平均投資にベストな金融商品はこれだ!(その2)

先日の記事「移動平均投資にベストな金融商品はこれだ!」では、コモディティ、新興国債券、外国REITへの投資に最適な金融商品を検証しました。

今回は、日本株、先進国株、新興国株、先進国債券、日本REITへの投資に最適な金融商品がなにかを検証します。

日本株、先進国株、新興国株、先進国債券、日本REITにはETFと低コスト投資信託がありますので、どちらかを選ぶ必要があります。


今回の記事は長文ですので、あらかじめ結論を紹介しておきます。

日本株式  :ETF(1306)とeMAXISのどちらでもOK!
先進国株式 :ETF(1680)とeMAXISのどちらでもOK!
新興国株式 :ETF(1681)がベスト!ただし、市場価格と純資産残高の乖離幅に注意!
日本債券  :投資信託(eMAXIS)
先進国債券 :投資信託(eMAXIS)
新興国債券 :投資信託(STAM新興国債券インデックスファンド)
日本REIT  :投資信託(eMAXIS)
外国REIT  :投資信託(eMAXIS外国REITファンド)
コモディティ:ETF(1327)

※この記事は、中央三井アセットマネジメント(CMAM)がeMAXISよりも低コストなインデックス投資信託を販売する前に書かれた物です。適宜「eMAXIS」を「CMAMシリーズ」と読み替えていただけるとありがたいです。

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上記の結論に至った理由を知りたい方は続きをご覧ください。
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まず、「ETFか投資信託のどちらが良いか」を選ぶ基準を説明します。

信託報酬と取引コスト、両方が重要

移動平均投資では、投資信託やETFを保有している間中差し引かれる「信託報酬」ができるだけ安いものを選びますが、信託報酬以外にも注意する点があります。それは取引コストです。

投資信託の場合は、ノーロード投資信託を使えば、購入時には手数料がかかりません。しかし、売却時に「信託財産留保額」というコストがかかるものがあります。

ETFの場合は、買いと売りの両方で証券会社へ取引手数料を支払う必要があります。またETFの中にも信託財産留保額がかかるものがあります。このようなETFは売却する時に取引手数料と信託財産留保額の両方のコストが発生します。

移動平均投資では、平均して年間1回から2回の取引が発生します。そのため、信託報酬だけでなく、取引コストも考慮に入れた上で、コストの低い投資商品を選ぶことが大切です。

下の表では、取引が年間平均1回の場合、1.5回の場合、2回の場合のコストを計算しています。

List of ETF fund costs.JPG
※この表をクリックすると別ウィンドウで表が拡大されます。別ウィンドウで表を開いたまま、読み進めていただいた方が、読みやすいです。


過去データでの検証によると、移動平均投資では、投資期間中のおよそ70%の期間で投資商品を保有し、残り30%の期間ではキャッシュを保有します。そこで以下の計算式でトータルコストを計算しています。

年間トータルコスト=

信託報酬率×70% + 信託財産留保額×(想定年間取引回数÷2) + 取引手数料×想定年間取引回数


信託財産留保額×(想定年間取引回数÷2)の2で割っているのは、2回トレードしたとしたら一回は買いでもう一回が売りだからです。トレード回数の半分の「売り」だけで信託財産留保額を控除されるため、想定取引回数の半分に信託財産留保額をかけているのです。

それではこの表を使って、各資産のETFと投資信託のトータルコストを比較してみましょう。


日本株式

まず日本株式から見ていきましょう。日本株式ではETF(1306)とeMAXISがあります。信託報酬を比較すると、ETF(1306)に軍配があがります。もしバイ&ホールドであれば、ETF(1306)を選ぶべきです。

しかし、移動平均投資ではトレードが発生します。トレードを考慮したトータルコストを見てみましょう。トレード回数が1回と1.5回の場合はETFの方が低コストです。しかし、トレード回数が2回となるとETFのコストが投資信託を上回ります。

このように、トレード回数によってコスト優位性は変わるものの、差はせいぜい0.05%以下です。コスト面からはETFとeMAXISのどちらを選んでもよいでしょう。

ここで、別の要素を考慮にいれましょう。再投資の手間と分配金にかかる税コストです。ETFでは、株式が支払う配当金を原則として全額分配金としてETF投資家に支払います。一方投資信託では全額支払うわけではありません。通常の環境ではETFの方が分配金を支払う金額は高いと思われます。

日本株式の年間配当利回りはおおよそ1〜2%です。ETFではこの全てが分配金として支払われるとすると、そのうちの10%である0.1%〜0.2%が税金として毎年持っていかれることになります。

信託報酬と取引コストでは、ETFと投資信託では対して差はありませんでしたが、税コスト考慮するとETFの方が投資信託より不利といえます。

ただし、これは投資信託が全く分配金を支払わなかった場合に限られます。実際には投資信託が分配金を支払う場合もあり得ます。配当だけでなく、キャピタルゲインからも分配金を払うこともないとはいえません。すると投資信託の方が分配金額が高く、そして税金も高いということもあり得るのです。

結論として、日本株式ではETFと投資信託は甲乙つけがたい、といえます。投資信託では自動的に分配金を再投資してくれるというメリットがありますので、投資信託を選ぶのも一つの考え方です。

もしくは、どちらが優れているとはっきり言えない以上は、「ETFと投資信託に半分ずつ投資する」という方法も一つのアイデアでしょう。


結論:日本株ではETF(1306)とeMAXISのどちらでもOK!



先進国株式

次に先進国株式です。信託報酬ではETFのほうが投資信託よりも低コストです。しかし、年間平均1回〜2回トレードするコストを考慮すると、先進国株式の場合は大きく話がちがってきます。

非常に驚きなのですが、ETF(1680)は売却する際に信託財産控除額を0.3%支払わなければいけないのです。これが大きな影響を与えます。さらにETFは売買の際に証券会社へ取引手数料を支払わなければなりません。

一方、eMAXISは証券会社への取引手数料が不要です。さらに、信託報酬控除額を支払う必要がないのです。

年間1回、1.5回、2回のトレードを想定したトータルコストを比較してみましょう。トレード1回の場合は0.04%ほどETFの方が低コストですが、1.5回だと今度はeMAXISの方が0.06%安くなります。トレード2回となると差は広がり、eMAXISが0.17%安くなります。

このように、トレード回数が少ないとETFが有利、トレードが多いと投資信託が有利となります。しかし、その差はわずかといえます。

そこで、日本株式と同じく両方に半分ずつ投資することをお勧めします。

結論:先進国株式ではETF(1680)とeMAXIXのどちらでもOK!




新興国株式

新興国株式では、結論は明確です。全額ETF(1681)に投資するのがベストです。

信託報酬ではETF(1681)の方が低コストです。

トレードコストでは、ETFの場合は売りと買いの両方で取引手数料が0.06%かかります。さらに、売りの場合には0.3%の信託財産留保額が発生します。投資信託では、取引手数料はありませんが、信託財産留保額が0.3%かかります。つまり、ETFと投資信託のどちらとも同じ料率の信託財産留保額がかかることから、トレードコストはETFの方が取引手数料分の0.06%だけ高いということになります。

トレードシミュレーションを見てみましょう。トレード1回、1.5回、2回ともETFの方が安いという結果です。

新興国株式では、ETFの方が信託報酬が圧倒的に安く、トレードコストの差がごくわずかであるため、ETFの方がトータルコストが安くなります。

※ただし、ETF(1681)は売買の出来高が小さく、市場価格と純資産残高の乖離が大きくなりがち、という問題点があります。この点を考慮すると、eMAXISの方が安全といえます。

結論:新興国株式ではETF(1681)がベスト!ただし、市場価格と純資産残高の乖離幅に注意!


先進国債券

先進国債券は、先ほど説明した先進国株式と、ETF・投資信託ともコスト構造がほとんど同じです。信託報酬はETFの方が安いのですが、ETFには信託財産留保額がかかってしまうのです。

表のコスト比較を見ていただくと分かる通り、結果としてトレード回数が1回または1.5回の場合はETFが低コスト、2回の場合は投資信託が低コストとなっています。が、その差はごくわずかです。

では「両方に半分ずつ投資する」が答えになるかというとそうではありません。投資信託を選ぶのが正しい答えです。コストに大差がないのに、なぜ投資信託を選ぶのでしょうか。

それは、分配金です。ETF(1677)では、毎月分配金が支払われるのです。そのため、築いた資産をもとに毎月の分配金収入を得たい人には良い金融商品かもしれませんが、これから資産を増やしていこうする人にとっては、分配金から税金を取られてしまう分、収益が減ってしまうことになります。

投資信託も分配金がはらわれる可能性はありますが、毎月払われることはありません。そこで、先進国債券については、コスト面では甲乙つけがたいものの、分配金方針の大きな違いがポイントとなり、投資信託を選ぶのが正解となります。

結論:先進国債券では投資信託(eMAXIS)がベスト!


日本REIT

次に日本REITです。

信託報酬はETFの方が投資信託よりも若干安いですが、大差ありません。しかしトレードコストが違います。日本REITでは、投資信託の方がETFよりもトレードコストが高いのです。ETFでは取引手数料の0.06%が売り買いの両方でかかります。投資信託では売却のときに信託財産留保額が0.3%かかります。

シミュレーションを見てみましょう。トレード1回、1.5回、2回のケースともETFの方がトータルコストが安く、トレード回数が増えるほどその差が、0.15%、0.19%、0.23%と大きくなり、ETFの優位性が高くなっています。これはETFの方が信託報酬とトレードコストの両方が安いためです。

ではETFを選ぶのかというと、そう単純ではないのです。ETF(1343)は、四半期ごとに分配金が支払われます。REITは分配金の利回りの高さをメリットとしている金融商品です。利回りは3%以上あることが多いようです。すると、税率10%ですので0.3%を税金として支払うことになります(2011年からは税率が10%から20%に上がります)。


REITの高利率の分配金による税コストが、コスト差を上回ってしまうのです。そのため、日本REITでは投資信託の方が移動平均投資に適しています。

結論:日本REITでは投資信託(eMAXIS)がベスト!


日本REIT

日本債券を忘れてました。日本債券に投資するETFはありません。よって、最も低コストな投資信託、eMAXISを選びましょう。

結論:日本債券では投資信託(eMAXIS)がベスト!


まとめ

これで全資産について、最も低コストな金融商品を選ぶことができました。念のため、おさらいしておきましょう。

日本株式  :ETF(1306)とeMAXISのどちらでもOK!
先進国株式 :ETF(1680)とeMAXISのどちらでもOK!
新興国株式 :ETF(1681)がベスト!ただし、市場価格と純資産残高の乖離幅に注意!
日本債券  :投資信託(eMAXIS)
先進国債券 :投資信託(eMAXIS)
新興国債券 :投資信託(STAM新興国債券インデックスファンド)
日本REIT  :投資信託(eMAXIS)
外国REIT  :投資信託(eMAXIS外国REITファンド)
コモディティ:ETF(1327)


これで、移動平均投資で使う金融商品が決まりました。次回は、「なぜ外国ETFを使わないのか?」について解説します。

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※この記事は、中央三井アセットマネジメント(CMAM)がeMAXISよりも低コストなインデックス投資信託を販売する前に書かれた物です。適宜「eMAXIS」を「CMAMシリーズ」と読み替えていただけるとありがたいです。


posted by 市原 at 07:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 移動平均投資法の解説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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